貧乏で儲ける方法
夢枕に貧乏神が立った。
いや本人が名乗ったわけではないのだが、
破れごろもに渋うちわ、
青ざめた顔にどんよりと
悲しそうな表情を浮かべているのは
どうみても貧乏神に違いない。
「いよいよ俺の家から
出て行く決心がついたので
挨拶に来たか」
と問うたら、
「いんや。おまえさん、
ちょっと誤解してるよって
その釈明に現れたんや」
「何が誤解だよ。
おまえのせいで
うちは貧乏なんだろ」
「うん、そこな。
そこは間違いない」
「じゃあいいんじゃないか」
「そやけどな、貧乏をのぞけば
あんたそこそこ
幸福なんとちゃいまっか」」
「え」
「家族が大病を患うたことは?」
「…ない」
「夫婦が浮気でもめたことは?」
「…ない」
「子どもがグレたことは?」
「…ない」
「ほれみなはれ」
「しかしそれはなにも
あんたのおかげじゃない」
「それが誤解やいいますねん」
「…なんで?」
いや本人が名乗ったわけではないのだが、
破れごろもに渋うちわ、
青ざめた顔にどんよりと
悲しそうな表情を浮かべているのは
どうみても貧乏神に違いない。
「いよいよ俺の家から
出て行く決心がついたので
挨拶に来たか」
と問うたら、
「いんや。おまえさん、
ちょっと誤解してるよって
その釈明に現れたんや」
「何が誤解だよ。
おまえのせいで
うちは貧乏なんだろ」
「うん、そこな。
そこは間違いない」
「じゃあいいんじゃないか」
「そやけどな、貧乏をのぞけば
あんたそこそこ
幸福なんとちゃいまっか」」
「え」
「家族が大病を患うたことは?」
「…ない」
「夫婦が浮気でもめたことは?」
「…ない」
「子どもがグレたことは?」
「…ない」
「ほれみなはれ」
「しかしそれはなにも
あんたのおかげじゃない」
「それが誤解やいいますねん」
「…なんで?」
「金がないから暴飲暴食せんから、
ほんで健康なんちゃいますのん」
「…」
「めったに旅行にも行かれへんから
ほんで事故に遭わずに
済んどるちゃいますのん」
「…」
「浮気も、ほんまはやりたいけど
金がないからできんだけでっしゃろ」
「…」
「子どもらも、小遣いが少なすぎるから
悪所へ足を踏み入れることもなく、
一生懸命節約したり
自分で稼ぐことを覚えて」
「…」
「それからあんたも、
家のローンかかえとるから
嫌々ながらでも働いて
世の中の役に立っとるんでっしゃろ、
本来は怠け者のくせに」
「…」
「まがりなりも、子どもが大学に
入れたやおまへんか」
「…」
「奥さんもまだまだ30代でいけまっせ、」
後ろから見たら」
「そ、そりゃどうかな」
「…というようなお世辞は
こっちゃ置いといて」
「お世辞かよ☆」
「とにかく
ええことずくめやおまへんか」
「うーむ」
「よう覚えときなはれや。
貧乏は不幸やおまへんねん。
貧乏に負けるから不幸になりまんねん」
「なかなか含蓄を言うじゃねーか」
「貧乏神はむしろ崇め奉られるべき
存在でんねん」
「ふーん」
「で、ものは相談なんやけど」
「え、何?」
「『貧乏神社』なんぞおっ建てて、
信仰宗教でがっぽり儲けまへんか?」
・・・えー?
ほんで健康なんちゃいますのん」
「…」
「めったに旅行にも行かれへんから
ほんで事故に遭わずに
済んどるちゃいますのん」
「…」
「浮気も、ほんまはやりたいけど
金がないからできんだけでっしゃろ」
「…」
「子どもらも、小遣いが少なすぎるから
悪所へ足を踏み入れることもなく、
一生懸命節約したり
自分で稼ぐことを覚えて」
「…」
「それからあんたも、
家のローンかかえとるから
嫌々ながらでも働いて
世の中の役に立っとるんでっしゃろ、
本来は怠け者のくせに」
「…」
「まがりなりも、子どもが大学に
入れたやおまへんか」
「…」
「奥さんもまだまだ30代でいけまっせ、」
後ろから見たら」
「そ、そりゃどうかな」
「…というようなお世辞は
こっちゃ置いといて」
「お世辞かよ☆」
「とにかく
ええことずくめやおまへんか」
「うーむ」
「よう覚えときなはれや。
貧乏は不幸やおまへんねん。
貧乏に負けるから不幸になりまんねん」
「なかなか含蓄を言うじゃねーか」
「貧乏神はむしろ崇め奉られるべき
存在でんねん」
「ふーん」
「で、ものは相談なんやけど」
「え、何?」
「『貧乏神社』なんぞおっ建てて、
信仰宗教でがっぽり儲けまへんか?」
・・・えー?
読み進むうちに、親近感が沸いてきました。
ロクさんの文章!とっても楽しみにしている一人です。
もっと、頻繁に読ませて下さいな!お願いしま〜す。